2026年03月18日
blog : 絵本のすすめ ④
今年の5月10日まで、『生誕100周年記念 安野光雅展』がPLAY! MUSEAMで開かれています。安野光雅さんの絵本は、「あの絵ね!見たことある!」と、おそらく誰もが目にしたことがあるはずです。
『ふしぎなえ』 安野光雅 絵 (福音館書店)
安野光雅さんのデビュー作で、誰もがどこかで出会っているのではないでしょうか。絵本の面目躍如、絵だけです。タイトル通りの不思議な絵が次から次へと現れます。この絵本、読み進めるという言葉が全く似つかわしくありません。絵本を開いたらずっと見入ってしまいます。絵本を逆さにしたり横向きにしたり、細かいところまで食い入るように。でも、そうか、そういうことか、と納得は出来ません。なぜなら『ふしぎなえ』ですから。
絵を見ていると、すごく素敵で優しくて暖かくて、少しだけゾクゾクするような世界に入り込めるのです。子どもたちの想像力をものすごく掻き立てて虜にする、そんな絵本だと思います。
『旅の絵本』 安野光雅 絵 (福音館書店)
旅の絵本はシリーズで計10作出版されています。各々に舞台があり、一作目のこの絵本は中部ヨーロッパが舞台になっています。
この絵本も絵、だけです。巻末に安野さん本人による解説がありますが、読み手は絵だけを追っていく絵本です。旅人がひとり、自然の中や街を進んで行きます。ページをめくるたびに、隅々まで細かい筆致で丁寧に描き込まれた草や木や動物たち、建物、人々に目を奪われます。
ページの中にいくつも物語が詰まっているのです。絵だけですから、その物語は読む人によって違うでしょうし、読むたびに変わるでしょう。絵本の中から色々な音も聞こえてきます。馬の足音、草原をわたる風の音、木々のざわめき、小川のせせらぎ、人々の話し声、子どもたちの笑い声。気が付けば絵の中に入り込んでいます。
絵の中には、有名な絵画を彷彿とさせる箇所など、大人にとってはちょっとした謎探しみたいなところもあります。巻末の解説を読むと分かるのですが、それはあくまでもおまけのようなもので、解説を読まずとも子どもたちは自分だけの世界を考えついて入り込むでしょう。子どもだけでなく大人も、絵本の中に入り込んで色々想像しながら旅をして、そして何度も見返したくなる、飽きることのない絵本と言えるでしょう。
たかおか耳鼻咽喉科クリニック 院長 高岡卓司
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