2020年07月07日

 今年の梅雨は「梅雨らしく」雨が続きますね。水不足などの視点からは良いことかも知れませんが、こう雨続きですと、体調もそうですが気分も沈んでしまうのが人の性です。体調管理はもちろん大事ですが、うまく気分転換するなど、心の管理も大切です。

 COVID-19の感染者数がなかなか減りません。しかし、この状況は予想されていたことでもあり、必要以上にパニックになることはないと思います。
 「第2波」という言葉がよく使われますが、個人的には少し違和感を感じます。第1波があったとして、まだ収まっているかと言われれば、そうでもないのかなと考えています。そもそもウイルスは人間のように「そろそろ2回目の攻撃を仕掛けるか」なんて考えていません。感染と増殖をひたすら続けるだけです。日本の感染者数が少なくなっていたのは単純に感染の機会が減っていたからであって、6月に入って人の動きが増えてきたことに伴って感染の機会が増えてきたということに尽きると考えています。
 ただCOVID-19の感染は、インフルエンザウイルスの感染と比べてもかなり特殊な拡がり方をしているように感じます。インフルエンザが流行すると満遍なく患者さんが増えます。皆さんのご家族や知人もインフルエンザに罹った人が多くなりますよね。しかし、皆さんの周りにCOVID-19に感染した人はいましたか?大多数の方は思い当たらないと思います。COVID-19の感染はかなり偏った拡がり方をしている印象があります。正確なことは分かりませんが、この特徴は感染対策に非常に有用な情報だと考えています。
 残念ながら未だに世界中でCOVID-19対策は失敗しています。ウイルスも自己保存のために変異を繰り返しますから、人間が簡単に対応することは難しいと思います。長い付き合いになりそうですが、日本では幸いなことにある程度抑え込めていますから、心配し過ぎてストレスを貯めないようにしましょう。テレビやインターネットでは毎日のように「専門家」なる人達が色々な意見を発信しています。中には適切なものもありますが、大多数は明らかに間違っていたり不適切だったりするものも多いと感じています。世界中で感染症の専門医が未だに模索中なわけですから、メディアに出てくる「専門家」なる人達の話は眉に唾つけて話半分で聞いておくようなつもりで良いと思います。

 とは言え、当クリニックも医療機関ですから、このような状況でもある程度の基準を作った上で診療をしなければなりません。残念ながら、日本耳鼻咽喉科学会という、日本の耳鼻咽喉科診療の中心となる学会が出すCOVID-19対応の指針などにも、このような文言が記されています。
 「本稿はエビデンスに基づいた治療ガイドラインではない。本ガイドは日本耳鼻咽喉科学会が推奨するものあるが、各施設での対応を制限するものではない。各施設においては、内外の医療資源の供給に応じ、関係部署と協議の上、適切な診療を行うこと」
 つまりは、各施設で責任持って対応するようにという事になります。現状では正解が未だない訳ですから仕方ないことと思います。

 COVID-19の感染拡大に伴って、各施設で診療が縮小しています。徐々に手術なども再開されていますが、制限はかなりあります。ここで気になることは、他の疾患は待ってくれないということです。COVID-19の感染対策のために、他の疾患に対する治療が疎かになってしまう可能性があると感じています。例えば健康診断で行っていた上部消化管内視鏡検査、いわゆる胃カメラは、ほとんどの施設で中止になっています。そうしますと、場合によっては早期の食道癌や胃癌など、健康診断で偶然見つかっていたようなものが見過ごされてしまう可能性も否定はできません。かと言って従来通りに検査をした結果、集団感染を起こす危険性もあるわけですから、非常に難しいことだと感じています。

 幸いなことに、現段階では当クリニックのような無床診療所でCOVID-19の集団感染は報告されていません。もちろん感染対策はずっと続けていきますが、今まで行ってきた「早期発見早期治療」という姿勢は崩さずに、しっかり診療を続けていくべきだと考えています。
 外出自粛期間中は学校や幼稚園もお休みで、お子さん同士の触れ合いもほとんどなかったと思います。そうしますと、感染の機会が減るわけですから風邪などの感染症には罹りにくくなります。いつもよりお子さんが風邪ひかないなと感じた親御さんもいらっしゃったかと思います。6月に入り、学校や幼稚園が再開しました。お子さん同士の触れ合いも増え、それに伴って、またお子さんの風邪など感染症が増えてきています。お子さんが風邪をひくことは、もちろん重症化することはよくありませんが、ある程度は仕方ないことかと思います。私見ですが、風邪を引いたりして体内に少しずつ色々な抗体を作っていくことも、成長していく過程では必要なのかなとも思います。ただ、繰り返しますが、重症化は防ぐべきですから、ちょっと長引くな、つらそうだな、というときは受診してください。
 前回、梅雨時は細菌や真菌の感染が増えますというお話しをしましたが、ここ1ヶ月で外耳炎や扁桃炎などの患者さんが増えています。中には、「外に出たくなかったので我慢していたけれど、あまりに痛みが酷くなってきたので受診した」という患者さんもいらっしゃいました。外耳炎であればある程度ひどくなってからでも治りますが、早めに治療が必要な病気もあります。病院に行ってはいけないのではないか、と心配だったり遠慮してしまったりしている方もいらっしゃるようですが、先程触れたように、COVID-19の感染拡大で他の病気が待ってくれるわけではありません。気になる症状があれば、まずは受診していただいて構いません。ご心配なことや、聞いておきたいことなどありましたら、分かる範囲でお答えしますので、何でもご相談ください。

 もうひとつ、COVID-19の感染の危険性が高いのはどういう状況なのか、ということですが、あくまで私見ですが、先程触れたようにCOVID-19の感染は満遍なく拡がっているわけではなく、クラスターと呼ばれる集団感染が重なって拡大しています。こうしたことから、そのような場所に共通している「不特定多数の人が、一つの空間に長時間居て、会話したり飲食をしたりする」という状況を避けるべきだと考えています。例えば外食するときに、換気されていそうでも、人が沢山集まっていたり、まあまあの声量で多くの人が話していたり、というところは避けたほうが良いかも知れません。久しぶりに皆で集まって食事しよう、ということもまだ我慢でしょうか。広々とした店内に、そこまで多くのお客さんがいないような、静かなお店で、家族など少人数で食事をする、というような状況であれば比較的危険性は低いかと思います。もちろんそれでも感染してしまうかも知れませんが、生活している以上、「絶対にCOVID-19に感染しない」方法は現状ではあり得ませんから、その中で上手に生活していく方法を模索してかなければなりません。何より、色々恐れて不安のあまり精神的に参ってしまうようなことは避けたいですね。外食や外出で気分転換することも大事ですから、上手に心の平穏を保っていきましょう。

たかおか耳鼻咽喉科クリニック 院長 高岡卓司