2020年12月09日
現状で新型コロナウイルス感染症とどう付き合い、どのように生活するのか。その2 国や自治体の対応をどう捉えるか
我が国の新型コロナウイルス感染症による重症患者、死亡者は、現状でベトナム、中国、韓国などアジア諸国の平均よりいずれも上回っていますが、欧米諸国よりは少なく、まあまあと言ったところでしょうか。
日本で新型コロナウイルス感染症がある程度コントロールできている理由はまだ分かっていません。我が国の対策も諸外国と特に変わったものはありませんし、日本の文化や生活習慣、はたまた「民度」など中には首を傾げるようなものも含めて数多の理由が挙げられてきていますが、どれも大きな理由にはならないでしょう。強いて言うなら「幸運の連鎖」でしょう。
例えば、国民全員が仕事も学校もすべての活動を止めて毎週(毎日でもいいです)PCR検査を受け、PCR陽性だった場合には即座に隔離して陽性者が完全に居なくなるまで続ければ、最短で新型コロナウイルス感染症は抑え込めるでしょう。最も確実な方法の一つですが、どう考えても現実的ではありません。これは新型コロナウイルス感染症だけを考えた場合の意見であって、様々な分野での主張が当然あります。例えば観光業は「感染症対策はしっかりとっていますからぜひ来てください」、外食産業も「感染症対策はバッチリですからぜひ皆さんでお食事を」と主張するでしょう。感染症は制御できたけれどホテルも旅館も飲食店も軒並み廃業していたら、国として破綻してしまいます。
最終的に、こういった様々な観点から総合的に方針を決定するのが政治判断です。もちろんその方針に異を唱える人々もいるでしょう。それでも国が「責任をもって」一つの方針を立てなければ何も進みません。ただ、その後も日々検討を重ね、もし誤りや失敗が分かった時点で即座に認め、新たな方針を立て、そしてトップが「責任をとって辞任する」義務もあります。
こういった視点から国や自治体の対応を見てみますと、我が国の対策はすべて「協力要請」です。諸外国で見られるような「罰則や制裁を伴う強制措置」はありません。国民に何らかの強制をした場合には、行政には責任が生じ、加えて強制措置による損失を補填する義務も生じ、過ちがあった場合には賠償が必要となりますが、協力要請は、責任も明確ではなく、賠償の義務もありません。国民も従う義務はありません。どうするかは個々の判断です。飲食店などがお店を開けようが閉めようが自由です。
そうした中で、「Go To キャンペーン」などの経済対策も並行して打ち出されています。新型コロナウイルス感染症対策と相反するようですが、観光業も飲食業もこのまま営業縮小を続けていけば軒並み倒産は避けられませんし、国が何かしら対策を立てるのは当然とも言えるでしょう。このキャンペーンを利用するかどうかも個人の自由です。
こうして考えてみますと、国や自治体から出てくるものは、新型コロナウイルス感染症対策にせよ経済対策にせよ、ある意味で一貫して「要請」「応援」と言う一歩引いたものが多いようで、後はつまるところ個人の判断に委ねますという事なのかなと感じています。
続いて、今どのように生活していったら良いのかを考えたいと思います。
たかおか耳鼻咽喉科クリニック 院長 高岡卓司
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