2020年12月18日
現状で新型コロナウイルス感染症とどう付き合い、どのように生活するのか。その3 これからの生活について − 現状で分かってきていること
前回述べたように、新型コロナウイルス感染症拡大の現状を正しく把握することは現状では難しく、私達の目に入る情報は、国や自治体が公式に発信している内容さえも曖昧ですから、メディアやネットで流れているようなものは何をか言わんやといったところでしょうか。
新型コロナウイルス感染症に関してはまだまだ分からないことが多いとは言え、徐々に解明されてきています。色々な情報に日々惑わされず、確実性の高いものを一つずつ積み上げて、個人個人が冷静に判断していくことが大事かと考えます。
新型コロナウイルスの感染の仕方は飛沫感染です。飛沫とは、会話や咳、くしゃみなどによって口から出る細かい水滴のことを指す言葉です。ウイルスを含んだ飛沫を吸い込むことによって感染が起こります。飛沫はある程度重量がありますので重力の影響ですぐ落ちてしまいますが、新型コロナウイルスの感染では、しばらく空気中に浮遊しているマイクロ飛沫(エアロゾルと呼ぶこともあります)という細かい飛沫が問題になっています。
まず考えるべきことは、この飛沫、マイクロ飛沫による感染を防ぐことです。飛沫の直撃で感染することは誰しも想定しているでしょうから、これに関しては多くの人が注意していると考えられます。それに加えてマイクロ飛沫による感染にも注意が必要です。
以前も述べましたが、「不特定多数の人が、一つの空間に長時間居て、会話したり飲食をしたりする」という状況を避けるべきだと考えています。例えば外食する際、換気されていても人が沢山集まっていたり、多くの人が話していたり、というところは避けるべきでしょう。年末年始に久しぶりに皆で集まって食事しよう、ということもまだまだ我慢が必要です。換気もされて広々とした店内に、そこまで多くのお客さんがいないような静かなお店で、家族など少人数で食事をする、というような状況であれば比較的危険性は低いかと思いますが、もちろん感染のリスクはありますので、上手に生活していく方法を模索していかなければなりません。
年齢による重症化率の違いも分かってきています。新型コロナウイルス感染症による20歳未満での重症化や死亡は我が国では報告がありません。このことから、3つのことが言えると思います。
1つ目は、新型コロナウイルスに感染したとしても、20歳未満の人では無症状もしくは軽症であることがほとんど、ということです。
2つ目は、10代までは新型コロナウイルスよりもインフルエンザなど他の疾患に注意が必要ということです。新型コロナウイルスを恐れるあまり、具合が悪いのに病院に行かない、ということがないように気をつけましょう。
3つ目ですが、10代までは新型コロナウイルスに感染した本人は無症状もしくは軽症であっても、他の人にうつす可能性は十分あるということです。
60歳以上の重症化率は、年齢が上がるにつれて高くなっていきます。高齢者や基礎疾患を持つ方はとにかく注意が必要です。ただ、喜ばしいことに今年上半期と比較して7月以降の死亡率は高齢者でも低くなっています。呼吸器内科医の頑張りで治療法が整ってきているのでしょう。
もう一つ、これはまだ不明な点が多いのですが、新型コロナウイルスに感染した後に後遺症が残ることがあるようです。症状は多彩ですが、ウイルスを追い出すために体内で起こる免疫応答システムが間違えて自分の組織を攻撃してしまうためと考えられており、重症度とは関係ないようで無症状や軽症の人でも起こりうるようです。若い人は重症化のリスクは低いですが、こういうことも考えますと、とにかく感染しないように気をつけることが大事でしょう。
次回は、どういったことに重点を置いて生活していくのかを述べてこのお話しを締めくくりたいと思います。
たかおか耳鼻咽喉科クリニック 院長 高岡卓司
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