2020年12月21日
現状で新型コロナウイルス感染症とどう付き合い、どのように生活するのか。結び これからの生活について
今まで述べてきたことを踏まえ、日々どのように過ごせばよいのか具体的に考えてみます。
新型コロナウイルスに感染しやすい環境はある程度予測可能です。兎にも角にもそのような環境に身を置かないこと、それに尽きます。広さは関係なく屋内で、複数人で食事をする、お喋りをする、歌うといった状況を避けましょう。マスクをしていても感染します。これからクリスマスや年末年始で友人同士集まりたいと思う人も多いでしょうが、我慢してください。若い人の中には、感染しても軽症だろうから大丈夫だと思う人もいるかも知れません。でもよく考えてください。自分が軽症だったとしてもあなたが他の人にうつす危険があるのです。その人がご高齢であったり、何か持病を持っている人であったりすれば、重症になったり、あるいは亡くなってしまうかも知れません。
マスクはある程度効果がありますが、あくまでも限定的なものと考えましょう。マスクをしていても、ウイルスを含むマイクロ飛沫が多く浮遊している環境にいれば感染します。また、マスクをしていても喋っていれば飛沫やマイクロ飛沫は外に漏れ出ていきます。
マスクは自分の飛沫を外に出さないようにする、あるいは外からの飛沫を防ぐ効果がありますが、マスクの上下左右には隙間がありますし、ましてや鼻が出ていたりずれていたりすれば効果は激減します。それにウイルスそのものは一般的な不織布マスクの網目の数十分の1の大きさなので、マスクではウイルスそのものは防げません。
手洗いが感染予防に効果があることは以前から分かっています。手洗いはマスク以上に重要です。最近はアルコール系の手指消毒薬が多く出回っていますが、アルコール系の消毒薬では汚れはなかなか落ちません。手洗いで重要な順番は、1番目に流水(つまり水道水で手を洗うこと)、2番目に石鹸、3番目にアルコール消毒です。流水と石鹸での手洗いで汚れをしっかり落としてから、必要に応じてアルコール系の消毒薬を使うようにしましょう。それと、アルコールには脱水作用があります。冬の時期はただでさえ肌が乾燥していますから、アルコールを頻繁に使用していると肌荒れがひどくなりやすいです。肌の保湿にも気をつけてください。
もう一つ、以前にも述べていますが、新型コロナウイルス感染症が拡大していても、他の疾患は今まで通り治療が必要です。いわゆる「受診控え」で、糖尿病や喘息、心臓疾患などの持病が悪くなってしまったり、今までは早期に見つかっていた癌などの重大な病気の発見が遅れてしまったりというケースが実際に出てきています。体調が悪かったり、気になる症状があったりする場合にはきちんと医療機関を受診してください。健康診断も今年受けなかった方も多いのではないかと思います。例えば、定期検診の胃カメラで早期の喉頭癌が見つかり耳鼻咽喉科に紹介されるといったケースは多く、健康診断、定期検診の意義は大きいのです。こういう時期だからこそ尚更「健康でいること」が大切です。何かあれば早めに診察を受けること、健康診断を受けることを忘れないでください。
そして、一番大事なのは、ウイルスに感染しないような身体でいることです。体内にウイルスが入ったから必ず感染するとは限りません。体が追い出してくれることも多いのです。水分、栄養をしっかりとること、睡眠や休息をとることを心がけましょう。
忘れてはいけないことがもう一つ、身体だけではなく心の健康も大切です。屋外は、人が集まらなければ感染のリスクが比較的低いです。外で体を動かしたり、のんびり散歩したり、運動不足の解消にもなりますし、良いと思います。冬は晴れることも多く、空気が澄んでいますから遠い景色もくっきり見える日があると思います。寒いですから暖かくして出かけましょう。また、家の中でもゆっくり楽しめることがたくさんあります。ゆっくり良い音楽を聴いたり、文学の名作を読みふけったり、この機会に今まで触れてこなかったようなものに手を出してみるのも良いかも知れません。
まだしばらくは、感染に気をつけながら生活を続けなければなりません。ただひたすら我慢してふさぎ込むのではなく、この状況にあった生活スタイルをそれぞれ見つけながら、身体も心も健康で平穏な毎日を過ごしていきましょう。
たかおか耳鼻咽喉科クリニック 院長 高岡卓司
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