2021年04月27日
新型コロナワクチンの接種が進むことを切に願います。
新型コロナウイルス感染拡大から一年余りが経ちます。一開業医として地域の皆さんに少しでもお役に立てるようにと思い情報収集をしておりますが、新型コロナウイルス感染対策として一人ひとりができることは既にはっきりしており、年末にまとめて載せたことに尽きます。どうすれば個人が感染を防げるのか、それは今も変わっていません。しかし我が国では感染拡大がとまりません。こうなりますと、正直なところ人災と言っても良いのではと感じています。
ここに来てまたもや緊急事態宣言が出されました。一年経って同じ内容ということに疑問を感じています。一年前の緊急事態宣言については、分からない状況でひとまず大まかに規制をして、その間に打開策を考えるという妥当な対策だったと思います。ただ、その緊急事態宣言も一時しのぎにしか過ぎないということが分かったのにも関わらず同じことを繰り返す国や自治体の対応に、議論や検討を重ねた跡が見えないのです。
感染拡大を止めるために必要なことは、人が集まらないようにすることです。商業施設や娯楽施設を閉めても他のところに人が集まってしまえば意味がありません。緊急事態宣言はもはや規制による心理的効果しかないように感じます。しかも2回3回と繰り返し、その心理的効果もどんどん薄れてきているようです。
そうなりますと、一人ひとりが地道にやれることをやっていくしかないように思いますが、それには限界があります。現状では、一刻もはやく国民の大多数がワクチン接種を済ませることが望まれます。mRNAワクチンには新型コロナウイルス感染症をかなりの率で発症させないことが分かっており、現状ではmRNAワクチンが新型コロナウイルスの感染拡大に効果が期待できる最良の治療法です。今はとにかくワクチンの接種を進めることが最良の選択肢だと考えています。我が国全体での感染拡大を抑えるためには、やはり国民の8割ですとか9割といった率でワクチン接種が広がる必要があるでしょう。
特効薬、治療薬についての話も時々出てきますが、治療薬は重症率や死亡率を下げるための薬であって、感染拡大を防ぐこととは話が違います。ワクチンか治療薬かという選択があるのではなく、感染拡大をワクチンで抑え、発症した患者さんには治療薬で重症化、死亡を防ぐということになります。ワクチンも、治療薬も、両方必要なのです。
つまるところ、いま我々ができることは、今までどおり感染予防を続けながら、全国員がワクチン接種を早く受けられるように国や自治体に最大限の努力をしていただくしかないでしょう。まだ先は長いですが、心と身体の健康を保って、落ち着いて毎日を過ごしていきましょう。
たかおか耳鼻咽喉科クリニック 院長 高岡卓司
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